建設業界にはもう先がない、などと一昔前まではよく言われていました。
しかし、そんな危機的状況は脱しつつあります。
ただ、まだ将来を案じる声が多いのも事実です。
業界の現状と課題を確認し、打開策を検討することが必要とされています。
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目次
2011年度の建設投資額は42兆円とピーク時の半分に
バブル経済の中では建設投資額が上昇し続け、1992年度には84兆円を超えました。
その後、いわゆる失われた20年に突入し、一気に投資額も下降。
危機的状況は脱したものの、回復したかと言われると肯定はしづらいです。
2011年度の建設投資額は42兆円と、ピーク時の半分になりました。
2008年にリーマンショックが発生して、日本でもその余波はかなり強い影響を及ぼしています。
ただそれも2013年頃には回復の兆しを見せます。
長い時間をかけて経済成長が始まり、2017年度の建設投資額は、57兆円に達しました。
その後も、60兆円程度で推移をしていて、景気としては悪くありません。
許可を得ている建設業者の数がかなり減少している
ただ、油断をするのはまだ少し早いです。
その他の数字が良いとは言えないからです。
許可を得ている建設業者の数は、1999年度がピークで600,000社ありました。
これが2018年度には約22パーセント減って468,000社と、かなり減少しています。
就業者も減っていて、685万人から503万人と大幅な減少です。
企業の数も労働者も減るのは、当然ですが良い傾向ではありません。
下請け構造が昔ながらの慣習として生きている
建設業界では、下請け構造が昔ながらの慣習として生きています。
これがいわゆる、古くて新しい問題です。
建設の仕事をするときには、現場ごとにかなり様相が違います。
内容も規模も大きく異なっていて、一件ずつ受注し生産するのが一般的です。
屋外の単品を扱っていて、受注生産をしていることがほとんどです。
これは生産性を上げにくいシステムと言えます。
工事によって必要になる職種が異なることも多いですし、工事の量は発注者の様子と経済の調子によって左右されます。
建設業者はマックスの工事量を前提に機械や労働力を確保せざるを得ず、結果として無駄になることも少なくありません。
その負担はもろに建設業者にのしかかります。
建設業界では二次下請けや三次下請けが当然のように存在している
日本には中小企業が多いですが、建設業界では特にその傾向が顕著です。
二次下請けや三次下請けが当然のように存在していて、四次・五次と企業が連なっていることも珍しくはありません。
その上建設の仕事は、設計から始まって構造・型枠・コンクリート・鉄筋・塗装・内装・電気設備・防水・空調等があり、挙げ出すとキリがないほどです。
いくつにも折り重なったこの構造が、大企業だけではなく中小企業にもデメリットとなって襲いかかります。
大きな企業は下請けの小さな企業をまとめて管理しなければいけません。
一方で規模の小さな企業は体力もないため、不利な条件でも仕事を受けざるを得ず、苦しい経営を強いられます。
人材不足も大きな課題
人材不足も大きな課題です。
慢性的な人手不足を解決しようと、国土交通省と厚生労働省は協力して人材確保に努めています。
職人が高齢化しているのも問題です。
建設に関わる人材の25パーセントが60歳以上と言われていて、10代や20代は1割程度です。
今後数年はこの状態で何とかなったとしても、10年後の将来を考えると、恐ろしくなります。
加速する人材不足には、早めの対処が必要です。
給与問題
今後の課題として挙げられるのが、給与問題です。
建設業界のみに限って考えれば、給与そのものは増加傾向にあります。
2012年の392万円から、2018年には462万円へと上がっています。
ただ製造業と比べれば建設業の給与は少ないですし、技能者と比べても低いです。
2018年のすべての産業の男性労働者の年間賃金が558万円なので、建設業と比較をすると18パーセントも低いことがわかります。
保険の加入率も課題
保険の加入率も課題です。
2018年の建設業界の社会保険加入率は97パーセントです。
2011年が84パーセントだったことを考えれば、相当改善しています。
雇用保険や健康保険・厚生年金はいざと言う時に必要になるので、加入をしていないことは心配でしかありません。
この97パーセントという数字の中身も、精査しなければいけません。
長時間労働
長時間労働も、建設業界に影を落とす一因です。
人材不足に陥ると労働時間は自然と長くなってしまい、長時間労働が慢性化します。
それを嫌う労働者がさらに業界から離れ、悪循環に陥ります。
人手の確保はさらに難しくなり、また労働時間が長くなってしまうという負のスパイラルです。
2018年度の建設に携わる人たちの年間実労働時間は、2030時間を超えています。
これは、全産業の平均よりも300時間も長いことを考えると、恐ろしくなります。
長時間労働が影響して、休日も少なくなってしまいがちです。
まとめ
完全週休2日を取得できている人は少なく、10パーセントにも満たないと言われています。
週休1日以下が、4割を超えているというデータもあります。
解決すべき大きな課題の1つです。